二戸の「サイトギ」

「サイトギ」をご存知ですか?

二戸市、似鳥八幡神社で行われる祭事で、

旧正月に当たる2月に、その年の作柄と天候を占う「年占行事」なのですが、

その光景は、見る人の目を奪い、興奮を与えるほど一見の価値があります。

 

一年で一番冷え込むこの二月の日が没した闇の中、

煌煌とではなく轟轟と燃える「サイトギ」、井桁に組んだ木々が燃え盛る一方で、

神社を間にしての反対側に褌一丁の男衆が寒空の下へと姿を現します。

極寒から身を守る衣服を許されず、逃げる隙間もないよう取り囲む来場者に見守られ、

凍る間際のような水桶の冷水を、一回、二回、三回と、肩から頭から浴びる「水垢離(みずごり)」に、

来場者からは身を乗り出しての喝采の声。

男衆からは身を投げ出しての絶叫の声。

 

こうして身を清め、さらしを巻いてはちまきを巻いてしめ縄を巻いて、

「裸参り」へと繰り出して行きました。

 

この「サイトギ」は、燃え上がる木々から舞い上がる火の粉の方角と、

「オコモリ」と呼ばれる五穀を炊いて剣状に盛り、凍らせた供え物の崩れ具合から、

その年の農作物の作柄を占います。

 


火の粉が大きく大きく舞い上がるように、

10尺以上の棒を手にした男衆がぐるりと井桁を取り囲み、

合図とともに一斉に、棒を火中に降り下ろしました。

 

冷水を浴びて、寒風にさらされた下帯姿の男衆が、

何度も何度も、心揺さぶる想いの丈をぶつけるように井桁を揺らすと、

熱い想いに応えるが如く男衆を包み込むように、

実際に包み込んで熱さに堪えられずまたも絶叫の声が上がるとともに、

火の粉が立ち上っていく先は、南の漆黒の夜空でした。

 

そうして宮司から御託宣された今年の占いは、「豊作」。

二戸の実り多き一年にとって、幸先の良い夜となりました。

 

「サイトギ」は400年以上前から行われている行事で、

脈々と受け継がれてきた伝統を肌で感じることができる貴重な「地域の宝」です。

多くの人に知ってもらいたい二戸の魅力、来年も楽しみにしたいと思います。

 

「いわて音巡り⑩サイトギ(二戸市)」
http://www.iwate-np.co.jp/oto2017/index.html (岩手日報)