2006.11.13 登記基準点からの登記測量 1/4

第5回国際地籍シンポジウム/土地家屋調査士全国大会 in Kyoto
岩手県土地家屋調査士会 下斗米光昭

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1. 登記基準点整備事業

社団法人岩手県公共嘱託登記土地家屋調査士協会(以下「岩手協会」という。)では、平成13年度事業として平成14年4月1日施行の測量法の改正に伴い、世界測地系で筆界測量をするために登記基準点整備事業を実施した。

 

登記基準点は電子基準点のみを既知点として、岩手県内に73点設置し各市町村に寄贈した。

この登記基準点の精度は水平位置で平均13mm最大20mm、標高で平均16mm最大24mmであり、電子基準点と同等の精度を持つものである。

登記基準点は電子基準点を補完するものであるが、この当時の岩手県内の電子基準点24点を合わせると97点となり、10km~20kmに1点の配点密度の電子基準点・登記基準点網ができ上がった。

この登記基準点を整備した大きな目的は、
10mm程度の精度で筆界測量をし、後日境界杭が亡失しても10mm程度の精度で復元をすることで、境界争いのない平和な地域社会への貢献である。

 

 

2. 共通仕様書・作業規程の制定

登記基準点整備事業と同時に、岩手協会独自の共通仕様書作業規程の作成に取り掛かった。

この当時の調査測量実施要領には1・2級登記基準点の規定がなかったため、1・2級登記基準点(以下「1級」「2級」という。)を盛り込むことにした。

 

当協会の作業規程では三角点を既知点として使用していないため、1・2級について既知点間の標準距離、新点間の標準距離を国土交通省公共測量作業規程(以下「国交省作業規程」という。)と同じにした場合、膨大な基準点の設置が必要となり、現実的に不可能であった。

そこで、1・2級についてはGPS測量を想定し、1級の新点間の標準距離を5km、2級の新点間の標準距離を1kmとした。

 

表1は級別の登記基準点について、既知点の種類、既知点間の標準距離、新点間の標準距離を表したものである。

表1 既知点の種類・既知点間の標準距離・新点間の標準距離

表1_既知点の種類・既知点間の標準距離・新点間の標準距離

 

 

3. 1級登記基準点整備事業の実施

登記基準点(ここからは1級以下と区別するために「0級」と呼称する。)の整備を終えて、次の事業として1級の整備に取り掛かった。

これは、岩手協会8支所の事業として実施し5kmに1点の配点密度で設置した。

これらの1級の精度は全て水平位置で25mm以内であり、平成19年6月末現在の1級の設置登録点数は436点である。

 

 

4. 2級・3級登記基準点の設置作業

1級が整備された後、業務を受託した場合の作業は2級の設置、3級登記基準点(以下「3級」という。)の設置、続いて4級登記基準点(以下「4級」という。)を設置し一筆地測量をすることになる。

 

しかし、これらの作業を一連で実施するとなると、相当数の登記基準点の設置が必要になり、かなりの日数と費用がかかり現実的ではなかった。

また、業務を受託してから作業に取り掛かった場合、納期に間に合わないケースが想定された。

そこで、業務を受託した場合にできるだけ手間隙をかけないで登記基準点を設置する方法を検討した。

 

国交省作業規程第21条運用基準第2項で
「1級基準点測量において、既知点を電子基準点(付属標を除く。)のみとすることができる。ただし、既知点とする電子基準点は作業地域に最も近い2点以上を使用する。」
としている。

図に示すと、図1(単路線・結合路線)のようになる。

図1 既知点を電子基準点のみとする場合(単路線・結合路線)

図1_既知点を電子基準点のみとする場合(単路線・結合路線)

 

 

図1は1級登記基準点測量において電子基準点のみを使用した場合の電子基準点の利用例であるが、岩手の0級は電子基準点のみ使用して設置されたものであり、電子基準点と同等の精度を持つものである。

1級もまた、電子基準点・0級を既知点として設置されたものであり、水平位置25mm以内の精度を持つものである。

以上のことから、図1の考え方を応用し、GPS測量に限り5km網の1級から200m標準の3級を設置する規定を設けた。

3級登記基準点測量に関してはスタティック又は短縮スタティックによるGPS測量とした。

また、これらの観測に基づき解析された成果は登録をし、岩手協会社員の共有データとなることから、精度の安定性を考え3級登記基準点測量に関してはRTK-GPS測量を認めない方針にした

 

 

(page2 「5. GPS登記多角点について」へ)

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日本土地家屋調査士会連合会 会報「土地家屋調査士」2007.8月号46Pに掲載

http://www.chosashi.or.jp/activity/publications/kaiho/img/kaihou2007/200708kaiho.pdf

(URLをクリックするとPDFで閲覧できます。)